ポツンと一軒家が繋いだ縁
昨年の暮れの話ですが、2人目の子供の出産で里帰りしていた娘が
仕事から帰宅した私に
「お母さん、妙高の家がテレビに映ったような気がするんだけど・・・」と
妙な事を言い、更に
「妙高の家ってどこかの県に移築したんだよね?!」と言うので
「たしか、岩手県に移築されたみたいよ。」と答えたところ、
「間違いないわ!! 妙高の家だ!!」
話を聞いてみると、昼間、私たちが録画しておいた
TV番組の「ポツンと一軒家」を見ていたそうです。
岩手県の「ポツンと一軒家」で
新潟県妙高の解体した家の古材を使って作った
古民家の話だったそうです。
番組の中で、解体する前の妙高の家の写真が映し出され、
それが自分が小さいときによく遊びに行っていたお父さんの
実家に似ていて、もしかして・・・そうかな?!と思ったそうです。
早速、番組を見てみるとその妙高の家の写真は、
間違いなく主人が生まれて育った家でした。
その日、主人は、その番組を何回も何回も繰り返し見て
涙していました。
おじいちゃんは(主人の父)、今から16年前に亡くなりました。
今の私たちの家に同居して10年間、おじいちゃんと、おばあちゃんは、
通勤農業をして妙高の家を使っていましたが、おじいちゃんが、
病気をして通えなくなり解体をしてもらうことになりました。
その時に、雪深いところの古材を探している人がいるという情報と
解体を依頼した時期が合って岩手県に移築となったわけです。
主人は、自分が退職したらその家に一度は訪ねて行きたいと
解体した時からずっと、思っていました。
主人は、おじいちゃんから、「東京で学校の先生を退職された方で
岩手県の山の方に古材を使って家を建てるという」情報だけ
知らされていました。
昨年の春、主人も退職をして、そのうちに解体屋さんに
詳細を聞いてみようと思っていたところに
「ポツンと一軒家」のTV番組で移築先を知ることになるとは、
とても驚きました。
そのあと、ネット等で調べて新年になってから
岩手のAさんにお手紙を出しました。
Aさんも大変喜んでくださいました。
Aさんも家が完成してから古民家再生などの本に掲載されたりして
解体屋さんにその本を我が家に送ってくださいとか、知らせてください
と連絡をしてくださっていたそうですが、解体屋さんがうちの
電話番号をなくしてしまったようで残念なことに
連絡が来ることはありませんでした。
長年の願いが叶い6月の中旬、
家族で岩手に伺ってきました。
お邪魔した家は、玄関を入ったとたん「妙高の家だ!!」と思うほど
間取りから、すべてが懐かしく思い出されました。
Aさんご夫婦の温かい人柄に触れ、実家に遊びにきたような
とてもリラックスできる空間で、一時間くらいでお暇するつもりが、
お昼ご飯までご馳走になり、孫たちも初めてのお家とは思えないほど
のびのびと遊ばせていただきました。
大人も手作りのおもちゃや、麻紐でつくるランプシェードなどの作り方を
教わってきました。
お天気は雨で、外遊びはできませんでしたが、家の中で充分遊ばせて
頂きました。
新しい親戚ができたようで、ぜひまた遊びに寄せていただきたいと
思っています。
長年の夢が叶い、息子家族、娘家族と旅もでき、
最高の父の日になりました。
梁を見上げるツーショトは、感慨深いものがあります。
解体した時に屋根裏から出てきた妙高の家を建築した時の
年号を書いた棟板 嘉永2年(1849年)170年前です。
孫たちも大喜びで飛び回っていました。
建築してから4年後に岩手内陸地震があったとき
窓ガラスが壊れたそうですが
建物は寸分の狂いもなく全く大丈夫だったそうです。
ご主人の手作り作品
他にコマや、楽しくて簡単な折り紙遊びも教えて頂きました。
奥様の手作り作品 奥様は機織りで素敵なストールなども作っていらっしゃいました。
我が家のお婿さんが、Aさんから麻紐で作るランプシェードの
手ほどきを受け、帰ってきてから早速製作にかかり、納得いくまで
ナント16個も作り、その中から4個を我が家にもらいました。
Aさんご夫婦の温かい人柄に触れ思い出深い、
幸せな一日になりました。
170年前の梁、柱、座敷の戸などの物が、そして住む人が・・・・
江戸時代の終わりから明治、大正、昭和、平成、令和と繋がった様は
言葉では言い表せない感動を受けました。
「ポツンと一軒家」が繋いでくれた縁をこれからも大切にして行きます。
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